令和7年度 テイクオフ補助金事業の採択結果について(令和7年8月5日)
エグゼクティブサマリー
- 申請件数は大幅に減少(1,597件 → 1,067件、-33.2%)にもかかわらず、採択件数は倍増超(325件 → 694件、+113.8%)。結果として全体採択率は20.4% → 65.0%へ+44.6ポイントの急上昇。
- 分野横断で採択率が大幅改善。特に「情報通信(+51.2pp)」「不動産(+52.1pp)」「運輸(+51.4pp)」「総合サービス(+50.9pp)」「卸小売(+47.6pp)」「建設(+44.6pp)」などで顕著。
- 採択件数の増加寄与は「卸小売(+66件)」「製造(+56件)」「建設(+39件)」「情報通信(+36件)」「サービス(+33件)」「宿泊(+29件)」「学術専門(+28件)」が牽引。
- 「農林漁業」は区分が分割(令和6年度:農林漁業→令和7年度:農林業・漁業)。合算すると9/9で100%採択(前年は2/9、22.2%)という小規模ながら象徴的な改善。
- 全体像の比較(令和6 → 令和7)
- 申請件数:1,597 → 1,067(-530件、-33.2%)
- 採択件数:325 → 694(+369件、+113.8%)
- 採択率:20.4% → 65.0%(+44.6pp) 考えられる解釈(データに即した範囲)としては、(a) 審査基準または運用方針の変化、(b) 事業枠・予算の拡充、(c) 申請の質の向上などが複合的に作用した可能性があります(ただし本分析はデータ内在情報のみで外部確認はしていません)。
- 分野別の主な変化(申請→採択→採択率の推移と差分)
- 製造業:202→168(-34)/ 65→121(+56)/ 32.2%→72.0%(+39.8pp)
- 卸小売業:295→181(-114)/ 52→118(+66)/ 17.6%→65.2%(+47.6pp)
- サービス業:253→139(-114)/ 50→83(+33)/ 19.8%→59.7%(+39.9pp)
- 宿泊業:140→89(-51)/ 32→61(+29)/ 22.9%→68.5%(+45.6pp)
- 建設業:148→104(-44)/ 25→64(+39)/ 16.9%→61.5%(+44.6pp)
- 情報通信業:81→73(-8)/ 14→50(+36)/ 17.3%→68.5%(+51.2pp)
- 学術専門:121→79(-42)/ 16→44(+28)/ 13.2%→55.7%(+42.5pp)
- 生活関連サービス業:112→71(-41)/ 16→39(+23)/ 14.3%→54.9%(+40.6pp)
- 医療福祉:65→62(-3)/ 22→44(+22)/ 33.8%→71.0%(+37.2pp)
- 教育学習:44→22(-22)/ 9→14(+5)/ 20.5%→63.6%(+43.1pp)
- 不動産:65→45(-20)/ 8→29(+21)/ 12.3%→64.4%(+52.1pp)
- 運輸業:35→15(-20)/ 10→12(+2)/ 28.6%→80.0%(+51.4pp)
- 総合サービス:19→6(-13)/ 3→4(+1)/ 15.8%→66.7%(+50.9pp)
- 電気ガス:5→4(-1)/ 1→2(+1)/ 20.0%→50.0%(+30.0pp)
- 金融保険:3→4(+1)/ 0→2(+2)/ 0.0%→50.0%(+50.0pp)
- 農林漁業(6年度)→農林業+漁業(7年度):9→(8+1=9)/ 2→(8+1=9)/ 22.2%→100.0%(+77.8pp)
- 特徴(令和7年度の姿)
- 俯瞰的な採択率の上振れ 全16区分で採択率が大幅改善。極端値として「農林業・漁業」は母数が小さいながら100%。中~大規模母数でも「運輸(80.0%)」「製造(72.0%)」「医療福祉(71.0%)」「宿泊/情報通信(各68.5%)」「卸小売(65.2%)」「建設(61.5%)」「サービス(59.7%)」と、主要産業で軒並み高水準。
- 採択件数の集中 採択件数694件のうち、「製造(121)+卸小売(118)=239件」で34.4%を占有。さらに「サービス(83)」「建設(64)」「宿泊(61)」「情報通信(50)」「医療福祉(44)」「学術専門(44)」を加えると約64%超を占め、重点産業群の裾野が広い一方、実数は特定分野に集中。
- 申請行動の縮小と質的シフトの示唆 申請件数は多くの分野で減少(特に「卸小売」「サービス」で各-114)。それでも採択件数が増えていることから、「申請の精度向上」「不採択リスクの低減」「制度運用のアクセプタンス向上」など、量から質へのシフトが示唆されます。
- 追加インサイト(ランキング抜粋)
- 採択件数の増加(上位)
- 卸小売 +66、2) 製造 +56、3) 建設 +39、4) 情報通信 +36、5) サービス +33、6) 宿泊 +29、7) 学術専門 +28
- 採択率の上昇幅(上位・pp)
- 農林漁業合算 +77.8、2) 不動産 +52.1、3) 運輸 +51.4、4) 総合サービス +50.9、5) 情報通信 +51.2、6) 金融保険 +50.0、7) 卸小売 +47.6、8) 宿泊 +45.6、9) 建設 +44.6 ほか
- 実数×率のバランスが良い分野 「製造」「卸小売」「建設」「情報通信」「サービス」「宿泊」は母数・採択実数・率の三拍子がそろい、事業の主力ドライバー。
- コメント/示唆
- 出口志向の強化と迅速な事業化を志向 令和7年度は全体採択率が3倍強に跳ね上がり、分野を問わず高水準。制度運用として「採択の加速」「実装・展開のスピード重視」が色濃く、広い分野に投資する一方、実数では産業競争力・雇用波及の大きい「製造」「卸小売」「建設」「情報通信」「サービス」「宿泊」などに厚い寄与が出ています。
- 申請戦略の観点 申請件数が減った分野でも採択件数が増えているため、「準備の深度」「要件適合の精度」「実現可能性の裏付け」が採否を左右している可能性が高いです。次年度も同傾向が続くなら、(1) 市場実装計画、(2) 体制・資本計画、(3) 実証・連携先の具体性、(4) 地域・産業波及の定量ロジック、を明確にし、分野特性に合わせたKPI設計を打ち出すことが有効です。
- 小規模分野の読み方 農林業・漁業の100%は母数が小さく外れ値になりやすい一方、政策的な重点のサインとして注視に値します。裾野拡大や地域課題解決の観点で、関連案件の質的高度化が進む可能性があります。
- リスクと持続性 採択率の急上昇は制度側の一時的要因(年度ごとの重点や配分)に左右されることがあるため、次年度の見通しは制度公表後に改めて点検が必要。個社としては「複数シナリオ」を念頭に、採択後の実行計画を堅牢化し、次の資金・人材・市場アクセスと接続させる設計が肝要です。
- 注意点(データ構造)
- 区分変更:令和6年度「農林漁業」→令和7年度「農林業」「漁業」に分割。比較では合算(9件→9件、採択2→9、率22.2%→100%)で評価しています。
令和7年度新事業展開テイクオフ支援事業について、採択結果をお知らせします。
申請者数等について (PDF:307KB)